- hitoodoru kikaku
四国88か所巡り狂騒曲②
キャンプ場運営支援・予約管理代行のヒトオドル企画です。
同じタイトルを続けています。今回の元ネタであるこの日経の記事からは学べることが多いので、改めて自分の中でも勉強しています。
また昨夜読了した観光学の本が2018年に出されたものだったんですが、未だにこんなこと言ってるのかとちょっと驚愕したこともふまえ、記事にしています。
Kindle Unlimitedでしたが、時間の投資という意味では痛い出費でした(笑)。
さて、記事で四国88か所の参加人数が減少していることから、関わる人たちの努力や方向性が紹介されています。
当然、四国内の経済ともリンクされていることが述べらているにも関わらず具体的な観光消費額など出てきていなかったことから、昨日のエントリーでは数と額の違いを述べました。
そして今日はその施策についてです。
当然正解などないでしょうし、結果がすべてだと思いますが、一つの参考にしていただけたらと思います。
インバウンド比率は伸びている
記事中、一段落目に歩き遍路のインバウンド比率が伸びている、とあります。全体として6割まで減った遍路客のうち、歩き遍路におけるインバウンド客比率が伸びているとのこと。
これを読むと国内客はどれだけ減ったんだとも読めますが、他にも色々読み込めるところがあります。
記事中にもありますように減少した国内客をどのようにして盛り返すかに主眼が置かれているようです。また具体的な数字が受け入れる側の肌感覚という非常にあいまいな測定値なのは愛嬌としてこちらの数字を見てみましょう。
https://www.mlit.go.jp/common/001237304.pdf (観光庁)
全国的には国内旅行者の数は増えていますね。そうであれば単価の安い商品をバンバン開発しちゃって大量送客してもらおうか、という算段でしょうか。
それが地域にとってどんな弊害になるかは昨日のエントリーでも触れましたが、ちょっと調べていただければわかると思います。
そして何より、数を追っている施策だからこそ、このような動きになっているのでしょう。「お手軽に」「身近に」楽しめることになったとき、巡礼としての本質を求めるお客様を遠ざけてしまいかねないのではと危惧しています。
マーケティングの間違い以前に
そもそも目的が数なのであればその時点で観光振興を間違えていると言わざるを得ないのですが、元ネタで紹介されているような施策はいたるところに溢れています。
非常に短期的な目線と浅薄な知識で他所の先行事例を模倣するだけで誰も責任を取りません。マーケティング以前の問題で、地域の在り方自体が問われているのです。
この遍路は世界遺産の価値が間違いなくあると思っています。
ただし、昨今の観光ブームのあおりを受けて、お遍路さんの価値自体に手を加える動きが出てきたことにより、その価値自体が歪んでしまい、来客を遠ざけていると考えています。
実際、ここ10年ほどの遍路にまつわる観光振興はそうだったのではないでしょうか。
「お手軽に」楽しんでもらう巡礼に参加しようという人たちがどのくらいいるのでしょう。
下手なたとえで恐縮ですが、マラソン好きの人が「あなたの代わりにゴールします」というサービスを利用して達成感を得ようとするでしょうか?
本当に悩みを抱えた人が、スイーツを目当てに参加した人でにぎわうお寺に向かうとは想像しにくいものです。
本当の価値とは?
私自身もそこまで信心深いわけではありませんが、世界共通認識として「信仰」というものがあります。ここではすべての人が信仰を持っているという意味ではなく、「信仰」を持っている人がいるという概念が存在しているという意味です。
対象は違えど、その人の大事にしているものを大事にできるからこそ、愛情や尊敬の念が生まれるのでしょう。
海外訪日客で歩き遍路に参加される方の多くはそのような心を持っています。巡礼の道に宿る歴史や思い、信仰を感じながら歩を進めるはずです。
体験を経て、そこでしか感じることのできない無二の価値。
これだけのコンテンツであれば、丁寧な仕掛けをしていけば必ずその価値を昇華できるはずです。
ですので、仕掛ける側は一度ゆっくり歩き遍路をしてみて落ち着いたほうがいいかもしれませんね。
